決算が遅れる理由は?月次決算早期化のポイントを解説!

月次決算とは。月次決算早期化のポイント

月末に行われる月次決算。
月次決算とは、月次で行う決算業務のことです。
月次で経営状況を把握することで、経営者はタイムリーな経営判断を下すことができます。
法的に期限が設けられている本決算とは違い、月次決算には期限の定めはありませんが、今後の経営方針を決める参考資料となります。
ただし、いつでも良いということではなく、なるべく早く終わらせたいもの。
弊社にもシステム導入の課題として「月次決算の遅れ」を挙げられる企業様がいらっしゃいます。

なぜ月次決算は早期に終わらすことが必要なのでしょうか。
月次決算早期化のポイントと合わせて本コラムで解説いたします。



目次
1.月次決算とは?本決算との違い
2.月次決算の目的
3.月次決算が遅れるデメリット
4.月次決算が遅れてしまう理由
5.月次決算の流れ
6.月次決算早期化のポイント
7.まとめ

1. 月次決算とは?本決算との違い

月次決算と本決算は、目的とスコープに違いがあります。

月次決算は、毎月定期的に行われる財務のチェックポイントであり、経営の状況をリアルタイムで把握し、迅速な経営判断を可能にします。これにより、法人が直面する納税や財務上のリスクを管理し、延滞や無申告加算税のリスクを低減できます。

一方、本決算は事業年度の終わりに行われ、一年間の企業活動の総括を行います。これには、利益の計算、法人税や消費税などの納税義務の確定、そして将来の事業計画への反映が含まれます。本決算は確定申告の提出に直結し、税務上の最終的な責任を果たすためのものです。

2.月次決算の目的

月次決算の目的

まず初めに、月次決算の目的を確認してみましょう。
月次決算とは、日々の取引を正確に処理し、
月次で決算を行うことで、会社の毎月の営業成績や財政状況を明らかにすることです。

【月次決算の目的】
実績値の把握
常に最新の経営状況を把握することで、タイムリーな経営判断へと繋がります。

予算と実績の比較・修正
経営者にとっては、予算と実績の比較というのが大きな関心事となるため、経理・管理部門は月次決算の早期化が要求されます。

経営資金の検討
経営資金を金融機関などに申し込む場合、直近の経営状況を開示させられる場合があるので、決算を早期化して常に最新の状況を把握する必要性があります。

会計処理のミスを早期に発見
月次の短いスパンで決算を行うことで、会計処理のミスの早期発見につながります。

このような、企業運営を行う上で重要な情報を経営層へ提供することを目的としています。

3.月次決算が遅れるデメリット

月次決算が遅れるデメリット

月次決算の遅れを課題としている企業様では、3週間、または1ヵ月かかってしまうというお話を伺います。
企業運営に重要な月次決算ですが、遅れてしまうとどのようなデメリットがあるのでしょうか。

① 経営判断の遅れ
月次決算の目的は「企業運営を行う上で重要な情報を経営層へ提供すること」です。
月次決算が1ヵ月後になってしまうと、その分企業運営を行っている経営層の判断も遅れてしまいます。
例えば、事前予測よりも実績が振るわなかった場合。
早期に把握できれば予測と実績の差異を確認し、適切な対応策を考案・実施することができるのに、遅れてしまえばその対策を講じることができません。
情勢や景気動向の変化もある昨今では、不測の事態に対応できるよう月次決算早期化は
重要なのです。

② 経営資金の検討ができない
経営を安定させるためには、お金の流れがスムーズである必要があります。
月次決算が早期化されることにより、1ヵ月後、数か月後、あるいは1年後の資金繰りに問題は無いか、社内外への投資タイミングを見極める、重要な判断材料となります。
反対に遅れてしまうと、資金繰りの問題発覚の遅れや投資タイミングの機会損失が起きてしまうのです。

③ ミスの発見遅れ
正確に行っているつもりでも、数多い業務や処理内容で転機ミスや計算ミスが起こってしまうことがあります。
時間が経てば経つほどミスの原因を確定することは難しくなり、余計な時間や手間がかかります。
月次決算の遅れは、ミスの原因の特定が難しくなることだけではなく、余分なコストを膨らますことにも繋がっているのです。

4.月次決算が遅れてしまう理由

月次決算が遅れてしまう理由

月次決算を早期に行う重要性を理解はしていても、早期に終わらすことはなかなか難しいことかもしれません。
月次決算早期化の壁は何でしょうか。
よく弊社にお声をいただく内容をご紹介いたします。

・営業部から経理部、または管理部へ業績報告が遅れる
・社内のルール(締め日や締めの基準)が明確になっていない
・売上と原価を管理するシステム、仕組みが分かれている
・個々の担当者がExcel等で情報を個別に管理していて、集計に時間を要する
・各営業部署・部門から共有される売上表、原価表の集計に時間を要する
・導入しているシステムが、実際の業務にあっていない
・月末の時点でも原価の金額が決まらない

皆様の会社でも当てはまることはありますか?

5.月次決算の流れ

月次決算の一般的なプロセスを以下に解説いたします。

①取引記録の整理
月初には前月の全取引に関する書類を集め、記録します。売上、経費、購入などの日々の経済活動が含まれます。

②仕訳の入力
取引ごとに会計システムへの仕訳入力を行います。この時点で、適切な勘定科目に分類し、精確な記録を保証します。

③試算表の作成
月末には、全取引が正しく記録されていることを確認した上で、初期試算表を作成します。この試算表は、借方と貸方が一致するかどうかをチェックするために使用されます。

④調整仕訳の実施
試算表を基に、必要に応じて調整仕訳を行い、調整後試算表を準備します。減価償却費の計上や前払い経費の調整などを含みます。

⑤財務諸表の作成
調整後の試算表をもとに、財務諸表、すなわち損益計算書と貸借対照表を作成します。これらの諸表は、企業の財務状況を詳細に反映します。

⑥分析と報告
財務諸表を分析し、経営層への報告を行います。現状数値、問題点、改善案に焦点を当てて報告をします。

⑦税務準備
月次決算の情報を用いて、消費税や事業税などの税金の計算を行い、必要な場合は納税の準備をします。

⑧文書の保存
会計記録、財務諸表、税務計算書などの文書を適切に保存し、将来の参照や監査のためにアクセス可能に保ちます。

6.月次決算早期化のポイント

月次決算早期化のポイント

「月次決算」というと、経理担当者の方だけにフォーカスされがちですが、
実はそうではありません。
遅れてしまう理由を見てみると、大きく2つの種類に分類されることが分かります。

・社内ルールが明確ではないこと
・システムが自社に合っていないこと

経理担当者だけが粉骨砕身するのではなく、社内全体のルールの明確化や
システムを正しく選ぶ
ということが月次決算早期化のポイントなのです。

●社内ルールについて
社内ルールを明確にすることに加え、各部門の役割と責任の範囲も明確にすると
さらに良いでしょう。
運用フロー図を作成するなど、ルールの見える化を行うとミスを防ぐことができます。
システムがパッケージ型であれば、運用フローやルールも作成しやすくなります。

●システムについて
自社の運用に合わないシステムですと、営業部の方が入力をしない等システムが機能せず、確認作業などの業務が増えてしまう可能性があります。
自社に合うシステムを導入することで、各部門が数字を入力するようになります。
それを基に集計作業や確認作業をシステム上で行うことで、業務効率に繋がるのです。

また、販売管理システムでは処理漏れを防ぐ機能も搭載されています。
未請求はないか、金額の差異はないか、入金支払い漏れはないかなど、
システムから確認することができるのです。



7.まとめ

月次決算の遅れは、経営判断の遅れや経営資金の検討の遅れ、ミスの発見遅れに繋がるため、早期に終わらせることが重要です。

決算が遅れる理由には、営業部からの報告遅れ、社内ルールの不明確さ、システムの不適合、情報の個別管理による集計の時間要求、月末時点での原価未確定などがあります。

決算の遅れは、タイムリーな経営判断を妨げ、経営の効率化を損なう要因となります。そのため、社内ルールの明確化や自社に合ったシステムの導入が月次決算早期化のキーポイントです。

弊社では広告や制作に携わる企業様向けの販売管理システムを提供しております。
月次決算早期化に繋がる機能も揃えておりますので、月次締めについて課題を感じている企業様はこちらよりご相談くださいませ。
>>お問い合わせはこちらから

【関連ページ】
>>月次決算早期化を実現するために、社内システムの見直しをしようと考えています。注意点を教えてください。

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